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カチーダ・ マーハの日記
ルチルの 気まぐれ日記

カチーダ・マーハの日記

哀しみの名残り、楽園の終わり
2010.04.26

 「この国にビール以外飲めるものがあるって?」

 「ない、ない。分かったから飲みにいこうよ、早く」
 「もしかして理屈っぽい人だよね、あなた。そういうのイケズって言うんでしょ」

 「俺は知らないな~。完璧主義者とでも言ってほしいけど。まあ、俺を満たしてくれるモノがこの国にあるか、確かめに行くとするか」

 完璧って、ただ自分に素直じゃない事に関してはそうでしょう。でもちょっと尋常じゃないかも・・・。一体この人何なんだろ。なにかしらイエス、ノーに長々と説明をつけて返してくれるなんて。顔もたいして好みでもないのに。どちらかといえば、かなり受け付けないほうかも。ただ・・・、あの人を思わせる、あの人を感じさせる気がしないでもない。

 だからか・・・。

 あのヒトも飲むのは決まってビールだった。こんなに甘ったるい日常を中和してくれる唯一がこれだと言って。しかも何かに駆り立てるかのように浴びるほどの量を。

 あのヒトを思い出すなんて・・・、薄っぺらい思い出の一部にしていたはずなのに。思い出になっていたはずなのに。

 「こんな時間からビールを出す店知ってんの」

 「ここをどこだと思ってんのよ。夢の国なんだから。任せといて」

 「夢をはき違えてる気がするけど・・・、まぁその夢ってやつを感じさせてくれ」

 二人は街へ出た。

 均一化に加速がかかる街並み。ここでは、誰一人外でタバコを吸うことが叶わない。
薄く薄く、俺たちの何かがそがれているようだ。去勢の真っただ中に俺はいるんじゃないか、間違いなく。

                                   つづく

Posted at 2010.04.26 in ひとりごとコメント(0)トラックバック(0)
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