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カチーダ・ マーハの日記
ルチルの 気まぐれ日記

カチーダ・マーハの日記

再会そして出逢いin沖縄
2009.11.25

 ここでは何もかもが許される、受け入れてくれる。すべてをこの海のせいにすればいいのだから。


 俺が今まで生きてきて初めて出会った沖縄のひと、それが彼女だった。俺には何もかもが新鮮だったと同時におれの心も奪っていった。

 「こんなつまんない飲み会より俺と二人で飲まない?」彼女は頷いた。

「最初はいいけど、二杯目はこれにしなさいよ」これが泡盛というやつか。
「俺ビールが好きなんだけど」なんだかつっかかりたい気分だった。
「はいはい」と言いつつ彼女は俺の泡盛を注文した。悪くない感じだ。

 本当は今すぐにでも沖縄に帰りたいと彼女が言う。あの海がなかったら息がつまると。生きている意味さえなんだかわからないと。

「じゃあなんでこっちに出てきたの?」
「よく分かんない。離れてみてもう一度あの海の素晴らしさを感じてみたかったのかも」
彼女は舌をだして照れてはいたが、なんだか自分で自分を納得させるようだった。

「一度でも沖縄に来てみたらわかるわ、きっと」
「じゃあ沖縄に行ったらガイドしてくれんの?」
「オプションで人生のガイドも引き受けましょうか」こういうのは嫌いではない。
「そのオプション今日にも使えないかな?」彼女は目線をはずしてからもう一度俺を見た。お互いの鼻がくっつきそうになる距離で先に触れたのは唇だった。

 俺はついに沖縄に来てしまった。彼女に会うために。突然連絡もなしに彼女がいなくなって、どうしたらいいのかも考えられなかった。だから行くしかないと。こんなに行動力があることに自分でも驚いたが、何より彼女に会いたかった。たとえ会えなくても彼女を生んだ海だけでも見ようという言い訳がある。

 明日の朝一番に彼女の実家に向かおう。だがその前にビールだな。

 二杯目を頼もうとしたときに俺の名を呼ぶ声が聞こえた。

「ガイドはお呼びじゃないですか」彼女だった。
「ちょうど探してるところだったんだ、君にお願いしよう」
頼みかけたビールをやめて泡盛を二つ注文した。
「そうそう、これこれ」彼女が白い歯をみせた。

「どうして急にいなくなったか聞かないの?」
「聞いても答えてはくれないだろ」彼女はグラスを空にした。
「そうだ、海行きましょ」

 なんという景色だ、この海は。青いなんていうもんじゃない。俺が知ってる海は海じゃなかったということか。この海とあの太陽がある限り幸せでいられる気がした。いや実際そうなんだろう。

「どう?」彼女の息が俺の耳に触れた。
「悪くないよ。この海もそして君も」


 昔のひとは言った。「彼女が世界一の美女かはわからない。だが女としては世界一だ。」

 何もかもこの海のせいなんだ。彼女に出会ったのも、俺がここに来たのも、そして彼女に再び出会えたのも。

 ああ、なんて青いんだ、青すぎる。もしかして俺が一番逢いたかったのはこの海ではなかったのか。

Posted at 2009.11.25 in ひとりごとコメント(0)トラックバック(0)
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