いっそ思いを伝えるか、ボクの視覚が満たされたことを。
もうどこにも目が向きそうにないことまでも。
待てよ。オレは前もそんな感覚に囚われたことなかったっけ。
そうだ。初めてリコに会ったときだ。
あの時もリコの外見にココロまでも奪われたはずだ。今では変身したリコがオレを覆い尽くしている。変身したのはリコだけではないんだ。オレもなんだ。
オレの考え方といえば大袈裟だけど、自分自身ぶれてきているのは間違いない。幸か不幸かは判断できそうにないけど。
リコの言っていることがボンヤリとだが解ったような気がしてきた。変わりたくない、今のジブンのままで、このままずっと生きて行きたい。
だけどそれは叶わぬ夢だと薄々納得せざるを得ない年月を数えてしまった。オトナになってしまったんだ。
だから変身したのか。中身がもう変わってしまったのだから、外側が昔のままというのはなんだかな~と思わざるを得ない。なんだかな~って。あ~、オレどうしちまったんだろ。
そもそもオレどうしたかったんだろ。
鳴り響く電話の音に気付くのに時間がかかった。しかもオレの携帯ではない。てことは・・・。
電話の音は鳴り止まなかった。こういう時間を永遠っていうんだろうな。
「よ~し、行こっか」電話を無視してリコが言う。
行こう、行こうリコとならどこまでもついて行く。でもどこへ・・・。
「あ~、久々タケシとしゃべったら、ノド渇いてきちゃった」
ココロ渇いたオレには、ヨコシマな結末しか浮かんでこないが・・・。
そして、いまだ電話の音は止まないが・・・、果たして。
つづく