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カチーダ・ マーハの日記
ルチルの 気まぐれ日記

カチーダ・マーハの日記

彼女が思う、彼女に思う、彼女を想う
2009.04.27

昔の話だ。男と女がやんごとない事情で引き裂かれることになった。

二人の思い出の場所には肩を重ねて座った大きな石があった。

最後の夜、二人は悲しみに打ちひしがれてその石を彫り始めた。

ふたりの絆を確かめ合うように。


涙が涸れるが早いか朝を迎えた。

二人の刻んだキズは穴のように深くに達していた。

しかも男のそれより女のほうが数倍も。

別れはいつも突然だ。

会いたい時に彼女はいない。

彼女がいるとき会いたくなかった、会えなかった。

疎ましさを含んだ表情を何度見せたか分からない。

その時の、悲しみを伴う言葉を何度聞かされたかも分からない。

失ってはじめて気づくなんて大バカ野郎だ。


マザコンなんて暇な奴にまかせておけばいい。

そう思ってた。

でも逆だ。

マザコンであることは当たり前なんだ。

マザコンでない男には欠陥がある。

それは人としても。


哀しみを交えた思い出は簡単に癒えるものではない。

忘れ去ることが出来ないなら一緒に前に進むしかない。

幸いジーンズの左ポケットは空だ。

その時強い風が吹いた。

前のめりになるぐらいの強い風だった。


昔の人は言った。

「明日を憂うまえに、目の前のこの子を助けましょう」


『CR冬のソナタ』を打っていてそんな昔のはなしを思い出した。

そうか、皆が冬ソナに興じる理由がわかった気がした。

ポケットの中の思い出を噛みしめているのだと。

何度取り出しても色褪せることのない、あの思い出を。

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