昨年末のこと。
愛車である自転車、通称「青色吐息」が盗まれた。
もう5年ほど前になるだろうか。
見た目に青い部分が多かったその自転車には自分でもビックリするほど愛着が沸かず、名前でも付ければ少しはソレが沸くのではないかと思い、購入時に名付けたのだった。
我ながら、なんて安易な名前の付け方だったのだと今更ながら恥ずかしく思う。
そんな「青色吐息」が盗まれた。
それに気付いたのは、普段どおり会社へ向かうため、急ぎ早にマンションの駐輪場へと降りたときだった。
昨夜停めていた場所に姿が見えない。
首をかしげつつ、駐輪場全体を見回してみるが、やはり見つからない。
脳内のコンピューターをフル稼働し、考えられる全ての可能性に思いを巡らす。
そこである考えが脳裏に浮かぶ。そして同時に確信し、思わず声に出した。
「あっ」
万国共通の安定感のある驚き方「あっ」がここで投入される。
盗まれたという事実を受け入れたくはなかったが、事実、盗人のひとは跡形も無くキレイに仕事を済ませておいでだった。
そして数秒後にはため息が漏れる。
まさか購入した自分が青く重い吐息を吐くことになろうとは。
だなんて、上手いことを言っている場合ではなく、その日は会社まで猛ダッシュし、なんとか遅刻を免れたのだった。
そして数日後。
新しく自転車を購入する決意をする。
何がいいかな、何がいいかな。
そんなことを考えながら、ネットに接続されたパソコンに向かい、様々な検索用語をキーワードに自転車について検索した。
そして、多種多様な自転車の情報を目にしていくにつれ「自転車」というものの奥深さとその魅力に気付かされ、
気がつけば夢中で「自転車」についての知識を得ようとしている自分がそこにいる。
もちろんメーカーや値段にもよるが、洗練されたその乗り物には、重量・素材・タイヤ・グリップ・サドルにブレーキ・・・パーツのひとつひとつに職人のこだわりが感じられ、ただただ感心させられるばかりだった。
そんな中、ある自転車に目が止まる。
その名は、キャデラック。
そう、あのGM社の高級米国車、キャデラックがプロデュースしている自転車なのである。
正直、見た瞬間に「これだ」という光を見いだしたような感覚だった。
「これを買ったら、“キャデラックを買いました”ってタイトルでブログ書ける!」
はたまたこんなやりとりも即座に浮かぶ。
「ジョンさんって、何に乗っていらっしゃるの?」
なぁに、ただのキャデラックだよ。
「キャデラックって、あの?」
たいしたことはないよ。だってただのキャデラックなのだから。
「ジョンさん・・・好き」
だなんて、体育館裏で卒業式に告白をする乙女のような方たちに、きっと告白されてしまう!
※されません。
と、正直それまでに蓄えた自転車の情報は関係なく、
結局はスタイリッシュなデザインと割とリーズナブルなお値段(高いものは本当に高いですからね)、
なにより「キャデラック」というネームバリューに背中を押され購入いたしました。
その自転車がこちら。
うん、大満足。
その日は遅い時間にもかかわらず、1人夜の京都の街を駆けてみたNEWジョンでした。
休みになったらどこへいこうかな。