@30さんもが歯医者ネタを書かれていたので便乗して僕も書かせていただきます!
少し前のこと。
これまでも歯が疼くことは何度かあった。
そんな時は僕も@30さんと同様に痛くないほうの奥歯で食事をしたり、
歯磨き後のすすぎはぬるま湯で行ったりと思いつくありとあらゆる方法を取り入れ、虫歯が痛みださないようにつとめていた。
そんな方法により、調子のいいときは全く痛みの走らない月もあったりした。
そんな時は「なんだ、虫歯のヤツ。もう降参か?ふふふっ」
などと、良く分からない勝利の喜びにニヤリと笑ったものだ。
しかし、今回は相手が悪い。
今までの子分的な虫歯とはわけが違う。ボスキャラみたいなヤツだ。
それはもう、痛み止めを飲んでもいっこうに痛みがひかないのである。
しかも、痛みが出たのはなぜか26回目の誕生日だった。
他の日じゃなく誕生日という日を選ぶあたりにこの虫歯菌の悪意を感じる。
今日がもしジェシカとの大事なおデートの日だったらどうしてくれる。
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「ごらん、素敵な夜景だろう?」
ジェシカ「ホントねーい!料理もオイシソウねーい!」
「さぁ、食べようか。俺のバースデーに乾杯」
ジェシカ「カンパイねーい!!」
ゴクリ
「ぐぅっ!?・・・くーっ!」
ジェシカ「ジョンさん?どしたねーい?ドコか痛むですカ?」
「くっ・・だ、大丈夫だ。ワインが歯にしみただけさ。さぁサラダを・・・ぎぇーす!!」
ジェシカ「今、モンスターみたいな声したねーい!」
「サラダは痛くて食べれないか。ならスープはどうだ。これなら・・・きょふぇーっ!!」
ジェシカ「オーゥ。ジョンさん、もはや人間ではないねーい!ワタシ帰るねーい!」
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ほらね?ジェシカが怒って帰っちゃったじゃないか。
ほんと、この虫歯、空気が読めてない!バカッ!!
「俺に彼女がいなかったから良かったものの、ほんとその辺をよく考えてもらいたい」
などと思っている間も絶え間なく歯は痛み続けている。
「ほんと、このバカ虫歯が!」
イライラしているからか、余計に痛くなってしまった。
「ごめん!今のウソー!あはは、俺がそんなこと言うと思った?だからそろそろ痛みを鎮めてください」
しかし、痛みはひかない。むしろさっきよりも痛い。
「にゃろう、人が下手にでてたらいい気になりやがって!このスットコ虫歯が!」
やはり余計に痛む。
「なーんてね~!今のフェイント!!だからそろそろおとなしくなって下さい」
無視する虫歯。まさに無視歯。・・・上手くない。
「はんっ!いいだろう!今日はとことん闘ってやるぜ!」
どこまでも痛い歯と、そんな歯に怒る痛い俺。
もう、頭まで痛くなってきたから最悪だ。眉間には常に皺が。
不味い料理を食べた後の岸朝子さんみたいなことになっている。
この虫歯はさすがに強敵だなと感じ、翌日仕事が終わってから歯医者へと向かうことにした。
やはりインターネットで歯医者を探したが、何よりも優先したのは「近い」ということだった。
昔通院していた歯医者は片道40分ほどかかってしまうところにあった。
ただでさえ嫌いな歯医者に通うのにそんなにも時間がかかってしまうとなるとますます逃げ出したくなってしまう。
実際、3本ほど虫歯があったのにもかかわらず、痛む1本の治療が終わったところで通院をしなくなった。
で、現在に至る。
なので今回はできるだけ近場で、しかも仕事終わりに通える時間に営業しているところを探すことにした。
幸い、会社から歩いて数分の距離にある歯医者さんが営業時間の条件も満たしていたので、さっそく予約を入れ診てもらった。
レントゲンを撮り、それを眺めている先生の口から信じられない言葉がこぼれた。
「ジョンくんの、この歯ね?ここの歯。・・・俺、抜きたくない」
え?今何て??
「この歯、親知らずなんだけど、変な方向にはえてるでしょ?だから俺、抜きたくないんだー」
どうやら聞き間違いではなかった。
まさかの業務放棄に驚愕の色が隠せない。
「まぁ、今日はとりあえず痛む歯の治療しようかー」
はい、でもその親知らずもいずれ治療しなきゃいけないんですよね?
「んー、まぁそうだねー。でも俺、やりたくないなぁー」
やるんだ。勇気を出してやるんだ。あなたはやれば出来る人だから自信を持って!そう言いたかった。
「今日治療する歯も大変だねぇ。神経抜かなきゃいけないなぁー」
いやん、優しくして下さい。痛くしないでね。そう言いたかった。
「じゃ、麻酔打つからね?痛かったら手を挙げてね?」
はひ、ひはいへふ(痛いです)。
手を挙げる俺。
「あ、ごめーん」
手を挙げる俺。
「もうちょいだから」
手を挙げ続ける俺。
「はい、麻酔完了~」
痛いって言っても結局何も変わらないじゃん。
じゃぁいっそ挙げなきゃ良かった。
でもその後は全然痛むことはなく、意外にあっさり治療は終わった。
今までの歯医者さんの中で、間違いなくこの人がナンバーワンだ。神様のようだ。
そんな神様のアドバイスに従い、長い期間がかかってもこの際全ての歯のメンテナンスをする決意をしたNEWジョンでした。
そんな神様が、帰り際につぶやく。
「この歯、抜きたくないなぁー」
頑張るんだ神様、俺のために。